夏の石垣島でのダイビング ②
思い切って、ライフジャケットを脱いでシュノーケリングをしてみました。<おお!危なっかしいけど殆どおぼれてない。>・・・ちょっぴりシュノーケリングに自信がついて来ました・・・.
また奥さんが言いました。「ダイビングしてみない?」=「したい、しよう。」
<え。水ん中、潜るやつじゃないの?それも随分と深く潜るやつ。>”どざえもん”という言葉が一瞬頭の中をよぎりました。<ダイビングなんか映画か映像でしか見たことないし‥そう言えばなんでボートから海に入る時バック転みたいにするんだろう?‥俺、高所恐怖症、閉所恐怖症、おまけに方向音痴だし・・>とかぐずぐず考えている間に奥さんは、航空券、ホテル、ダイビングのライセンスを取るために2日間の講習を受けるショップなどすべて予約しておいてくれました。<うっ、うっ、うっ。どうも有難う。>
たいていの人は”体験ダイビング”というダイビングを一度経験してから講習を受けるのですが、奥さんは「そんな事してたら、この男、講習を受けるのはいやだとか言い出すかもしれない。」と思ったのか、ダイビングの知識もほとんどないまま、いきなり講習を受けることになりました。奥さんも私も講習の時に初めてダイビングの機材を身近で見て触れました。<奥さん、あんたチャレンジャーやね。>
だいぶ以前にこの時の事をブログに書いたことがありますが、この時のわたしのコンディション最悪でした。治療院の事で連日の睡眠不足で頭はボーッ、疲れとストレスからか、それとこの頃はまだ鍛練的な気功をする時,力を下丹田に落とす癖が残っていたからか鼠径ヘルニアになってしまいま した。患者さんの治療をしている時も、時々下腹部が痛くなるのを気功で紛らしたり我慢したりしてました(どうしてこんな状態でダイビングの講習キャンセルしなかったんだろう?)。
台風の直後、空はどんよりした曇り空,風強い、海は荒れていて水は濁ってる・・。<こんな石垣,
初めてだなあ。なんか嫌な予感・・?>
海が荒れているのでボートでの講習はできず、比較的静かな入り江での講習になりました。
講習を受けるのは、たまたま奥さんと私の2人だけだったので奥さんは女性のインストラクターと、私はショップのオーナーとの一対一での講習でした。
予感どうり(?)講習、私にとっては文字どうり難行苦行になりました。<こんなの”組手”で怖い思いしながら殴り合い蹴り合いやってる方がまだましかも・・。>とか<ヤバい。俺本当にまじでギブアップするかも・・。>とか一日目の講習の間中そんなことばかり頭に浮かんでました。それでもオーナーの方が叱咤激励しながら指導してくださって、やっとどうにか一日目の講習は終わりました。
<あ~あ、一日目の講習終わったんだ~。は~。>とか思いながら、息も絶え絶え(?)でショップから帰る時、女性のインストラクターの方が励まそうと思ったのか「二日目、来ない人結構います。」と言いました。もう半分やけっぱちで、<来るよ!!>
(それと・・講習中、とてもそれどころでは無かったのか海のせいだったのか、下腹の痛み全然感じませんでした。というか全く忘れてました。)
ホテルに帰ってからも講習の事が頭に浮かびます。私はどういう訳かマスククリアー(マスク=水中メガネみたいなモノ)という、マスクに水が入った時、鼻から息を吐くことでマスク内の水を外に追い出す様な動作がなかなかうまく行きませんでした。そんなにむつかしい動作とも思えないのに・・。
「ふーん、という感じでマスクの上部を抑えながら勢いよく鼻から息を吐く。」と言われて、「ふーん。」と息を吐いてもマスクの中の水は溜まったまま。なかなかうまくいきません。
奥さんは「この男、何ふーんふーん言ってるんだろう。」と思ったかも知れませんが、ホテルでも町を歩いていても気になって、ふーんふーんやってました。
その内たまたま,ふーんふーんではなく、ふんっ、ふんっになり、こっちの方が自分らしいと思えました。翌日の講習の時、ふ-ん、ふーんでは無くふんっふんっでしてみると、水はマスクから抜けてくれました。
気功も同じでした。人が言葉や動きで示してくれる事柄を、私たちはそのまま体感体現しようとするのではなく、それぞれが自分自身の心や体に翻訳して(置き換えて)みることができる様に練習することも気功です。
私たちが二日間の講習をうけてライセンスを頂いたのは”アイフィッシュ”さんというお店でした。本当に誠実に妥協や手抜き無しにダイビングの基礎を教えて頂きました(<人の命を預かっているのだから、好きだけでは出来ないこれも大変な仕事だな>とも思いました)。
もう10年以上前になりますが、ダイビングをする度に思い出して感謝してます。
そして翌年の夏、初めての本格的な(?)ダイビング、ボートダイビングと言ってボートから海に入るダイビングをしました。素晴らしい天気でしたが、一年ぶりだし・・<海だぞ海、これから潜るんだぞ海ん中,海ん中・・最深18メートルだってさ~。あ~あ~。>
パニックになるのが一番良くないので、できるだけゆっくり呼吸する様に、フィン(足に履くひれみたいなモノ)もあおる様に脚全体でゆっくり動かすこと(早く進もうとすると自転車漕ぎみたいになってうまく進めない)、装備、簡単に意思疎通ができる指での信号などを再確認してボートのへりに腰掛け、例の私が何でバック転みたいにして海に入るんだろうと思った方法で、背中から落ちる様に海に入ります(その時、口にくわえたレギュレーターという口で呼吸する器具とマスクが外れない様に顏と後頭部のマスクのベルトを手で押さえながら海に入ります。海に入る時の衝撃を少なくして器具が外れないためにでした。)
背中から落ちる様に海に入ったのは良いのですが、緊張していたのとバック転のイメージが強かったせいか<ウワッ、海ン中だ、海ン中。>と思いながらわざわざバック転してしまい、一瞬海面と海底が分からなくなって焦りました。先に海底に着床してこちらを見上げていた奥さんとインストラクターの方は、訳のわからん動きをして勝手に一人でもがいている私を見て「あの男、一体あそこで何やってるんだ?」と思ったでしょう。
ダイビングをする時は、バディといって原則二人一組になります。(何かあった時、滅多にありませんが例えばエア切れになったとき、バディのオクトパスという予備のレギュレーターで呼吸しながら一緒に浮上します)相手をサポートできる様にです。
この時は奥さんとバディになり、インストラクターの方に先導してもらいました。
奥さんは「コイツほっといたら何するか分らん。」と思ったのか、ずっと私のすぐ後ろ(監視?)を泳いでくれました。
ダイビングはシュノーケリングとはずいぶん違ってました。ダイビングは海の中、シュノーケリングは水面です。シュノーケリングは上から下を見る言ってみれば二次元、ダイビングは上下前後左右を見れる三次元です。また様々な生き物などをすぐ傍で見れますし、時には触ることもできます。水面がかなり荒れていても海中は穏やかです。
カラフルで大小さまざまな魚やエビや貝サンゴ、海藻の動きや地形の変化などあちらを見たりこちらを見たりしながらゆっくり進んでいきます・・とだけ言えば心地よくゆったりした時間を過ごしている様ですが実際はかなり違いました。びくびくしながら初めてシュノーケリングをした時と同じ様な状態でした・・<やばっ、俺の周り全部海水だよ。陸も空も見えねえよ(海の中ですから当然なのですが)>・・<うわー。海の中リアルにカラフルできれいだなー。浦島太郎もこういうとこ通って竜宮城に行ったのかな?(それって童話なんですけど)>・・<おいおい、こんなタンク背負ってそんな狭くて暗い洞窟みたいなところに入ってくのかよ?わたし閉所恐怖症なんだけど。>・・<こんな3,4ミリしかないカラフルなエビもしっかり生きてるな~。>・・<うーう。口じゃなくて鼻で息したいなー。(見上げると太陽の光でキラキラ輝いている海面が見えて)海面出て空見て普通に息して~。>・・<(丸い目をして一生懸命泳いでいる小魚の群れに包まれる様な状態になって)おーお。なんか感激だー。>・・。
先導してくれるインストラクターの方は、時々振り返ってこちらの様子を確認したり、指で「大丈夫ですか?」というOKサインをくれたりします。また着床したり、岩を手でつかんだ状態になった私達にいろいろな魚や生き物を示してくれたり、水中手帳で説明してくれたりします。
できるだけ色々なものを見たり体験して、海の素晴らしさや楽しさを知ってほしいという思いがこちらにも伝わってきます(またインストラクターの方の海のものに対する扱い方のデリケートさには、ちょっと驚きました)。
マンタ(巨大なエイ)や海亀を見るのを目的にしたツアーもあるのですが(マンタを見ましたが、さすがに大きくてゆったり優雅に泳いでました)、私は海のいろいろな個々の生物をみたり、地形の変化を感じたり、魚の大群がすぐそばを泳ぐ(うまくすればその中には入れたりします)のを見たりするのが好きです。
やっとボートに上がれるという思いと、不安や息苦しさなどを感じながらも、もっと海の中にいたいなという思いがごちゃ混ぜになった気持ちでラダー(ボートに上る梯子)を上がりボートに戻りました。機材を外し簡単にまとめて次のポイントでのダイビングに備えます。
その後真水を頭からかぶって海水を流すのですが、<真水ってこんなに気持ちの良いものなのか。>と思いました。これが初めてのダイビングで、毎年の夏の石垣島でのダイビングの始まりでした。